- 2025年6月10日
ビジネスを中心に、生成AIは必須なツールになってきました。
「自分が生成AIに関する知識やスキルがあることを証明する方法はある?」と考えている方も多いのではないでしょうか?
本記事では、生成AIに関連する資格の種類、取得するメリット・デメリット、そして効果的な学習方法について詳しく解説します。
また、注目の「生成AIパスポート」という資格についても紹介します。
生成AI時代のキャリア形成において、資格がどのような役割を果たすのか、一緒に考えていきましょう。
なぜ今、生成AIの資格が必要なのか?
近年、ChatGPTをはじめとする生成AI技術が目覚ましい発展を遂げ、私たちの働き方やビジネスのあり方に大きな変革をもたらしています。
多くの企業が生成AIの導入や活用を急務として捉え、関連技術に関する知識やスキルを持つ人材への需要がかつてないほど高まっています。
生成AIに関するスキルを証明する資格が増えてきている
このような状況下で、「生成AIに関連するスキルをどのように習得し、証明すればよいのか?」という疑問を持つ方が増えています。
そこで注目されているのが、生成AI関連の「資格」です。
資格は、特定の分野における知識や技術を客観的に証明するための一つの手段となり得ます。
資格取得を目指して学習することで、体系的な知識を習得できるだけでなく、自身のスキルレベルを対外的に示すことが可能になります。

生成AIの資格取得を目指すことは、同時に自分自身の生成AIに関する知識を増やすことにつながります!
生成AI関連の資格の種類:国内外の主要なものを紹介
生成AIに特化した国家資格は現在のところありませんが、関連する技術分野の資格や、民間の団体・企業が認定する資格が複数存在します。
主なものをいくつかご紹介します。
ベンダー認定資格
クラウドサービスを提供する主要なITベンダーは、AI(人工知能)や機械学習(Machine Learning: ML)に関する認定資格を提供しています。
これらは、各ベンダーのクラウドプラットフォーム上でのAI/MLサービスの利用や開発に関する知識・スキルを問うものが中心ですが、生成AIモデルの利用やファインチューニングに関連する内容も含まれるようになっています。
- AWS (Amazon Web Services): AWS Certified Machine Learning – Specialtyなど、機械学習に特化した専門資格があります。
- Microsoft Azure: Azure AI Engineer Associate、Azure Data Scientist Associateなど、AIやデータサイエンスに関連する幅広い資格があります。
- Google Cloud: Professional Machine Learning Engineerなど、Google Cloud上でのMLモデル開発・運用に関する資格があります。
- これらの資格は、特定のクラウド環境での実務に直結するスキルを証明するのに役立ちます。
日本の主要な民間資格
日本国内では、特定の団体が主催するAI・ディープラーニング関連の資格が認知されています。
- E資格(エンジニア資格): 日本ディープラーニング協会(JDLA)が認定する資格です。ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力を持つ人材を育成することを目的としており、比較的専門的で難易度が高いとされています。
- G検定(ジェネラリスト検定): こちらもJDLAが認定する資格です。AIやディープラーニングの基本的な概念、技術の概要、そして社会やビジネスへの活用に関する知識を幅広く問われます。エンジニアだけでなく、ビジネスサイドでAIを活用したいと考える方にも適しています。
これらの民間資格は、AI・ディープラーニングという分野全体の知識やスキルを体系的に学ぶ上で有効な指標となります。
その他の関連性の高い資格
直接的に「生成AI」という名称ではないものの、関連性の高い基礎的な知識やスキルを証明できる資格も存在します。
例えば、データサイエンス関連の資格や、情報処理技術者試験の一部(応用情報技術者試験や高度区分など)で問われる統計、数学、アルゴリズムに関する知識は、生成AIを理解し活用する上で非常に重要です。
生成AIパスポートという資格について
生成AIの資格の中で、「生成AIパスポート」という資格があります。
この資格について具体的に紹介します。
生成AIパスポートの概要
「生成AIパスポート」は、一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)が主催する、生成AIに関する基礎知識や、ビジネスにおける生成AIのリスクを理解し適切に扱うためのリテラシーを証明する民間資格です。
この資格は、AI初心者向けに、生成AIの活用方法だけでなく、個人情報保護、著作権侵害、商用利用の可否といった企業のコンプライアンスに関わる注意点などを学ぶことを目的としています。
生成AIパスポートの問題数や受験費用
試験概要は以下の通りです。
- 名称: 生成AIパスポート試験
- 主催: 一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)
- 形式: オンラインでの実施(IBT方式)
- 試験時間: 60分
- 問題数: 60問(四肢択一式または複数選択式)
- 出題範囲: シラバスに基づきます。(毎年改訂される可能性があります)
- 受験資格: 制限なし(学歴、年齢、実務経験に関わらず誰でも受験可能)
- 受験費用: 11,000円(税込)。学生は5,500円(税込)
- 開催頻度: 年3回(主に2月、6月、10月)
- 合格基準: 非公開ですが、合格率は比較的高め(概ね75%前後)で、難易度は易しいとされています。
- 認定: 合格者には合格証書とオープンバッジが発行されます。一度取得すれば資格は無期限です。
生成AIパスポートを取得することで、生成AIに関する基本的な知識や安全な活用方法を体系的に習得し、対外的に自身のAIリテラシーを示すことができます。
これは、キャリアアップやビジネスにおける生成AIの適切な利用促進に役立つと考えられています。
詳しくは下記の公式サイトもチェックしてみください。
生成AIパスポートのおすすめの勉強方法
生成AIパスポートのおすすめ勉強方法は下記の2つです。
- 公式テキストを活用する
- Udemyを活用する
具体的な勉強方法については、下記で解説してきます。
公式テキストを活用する
生成AIパスポートは公式テキストとテキストと問題集が一緒になった本が出版されています。
- 生成AIパスポート公式テキスト 第3版
- 改訂版 生成AIパスポート テキスト&問題集
私が実際に2つのテキストの内容を確認して感じた点は、「改訂版 生成AIパスポート テキスト&問題集」のほうがおすすめということです。
「生成AIパスポート公式テキスト 第3版」は生成AIパスポートに興味があるだけでなく、生成AIのプロンプト制作や実例を学びたい人に有効だと思いました。
「改訂版 生成AIパスポート テキスト&問題集」のほうがおすすめの理由は、やはり問題集がついている点です。
生成AIパスポートの試験を受けるうえでは、本来は非公開である試験の問題を試験を実施しているGUGA公認ということで、模擬問題を多数収録していたからです。
また、各章の最後にはマルバツ問題がついており、その章の要点を自分が理解しているか確認しやすいと思いました。
もちろん、両方のテキストを活用するのがベストですが、より実践的なのは「改訂版 生成AIパスポート テキスト&問題集」といえそうです。
Udemyを活用する
ある程度、生成AIにする知識を身に着けている方は、本番を想定してUdemyの模擬演習コースを受講するといいでしょう。

Udemy(ユーデミー)は、世界最大級のオンライン学習プラットフォームです。
Udemyではいくつかの生成AIパスポートに関する試験対策や模擬演習試験の講座が用意されているので、「とにかくたくさん試験問題を解いてみたい」という方におすすめです。
Udemyは定期的に大幅に値引きされることが多いので、事前に気になる講座をお気に入りに登録しておけば、メールで通知してくれるので便利です。
生成AI資格取得のメリット:キャリアアップ、スキル証明、学習促進
生成AI関連の資格を取得することには、いくつかの明確なメリットがあります。
客観的なスキル証明になる
まず、最も大きなメリットの一つは、客観的なスキル証明になることです。
履歴書や職務経歴書に資格名を記載することで、採用担当者やクライアントに対して、生成AIや関連技術に関する一定レベルの知識やスキルを有していることを具体的に示すことができます。
特に、実務経験が少ない場合や、異分野から生成AI関連職種を目指す場合には、資格が学習意欲と基礎能力のアピールにつながります。
転職・就職活動における有利さ
次に、転職・就職活動における有利さが挙げられます。
企業によっては、特定の資格取得者を優遇したり、採用の必須条件としている場合もあります。
また、資格取得に向けた努力は、自身の専門性への投資として評価され、キャリアアップの機会につながる可能性があります。
体系的な知識の習得
さらに、資格取得という明確な目標を設定することで、体系的な知識の習得を効率的に進めることができます。
試験範囲が定められているため、何をどのレベルまで学べばよいかが明確になり、学習のモチベーションを維持しやすくなります。
これにより、断片的な知識ではなく、生成AIに関する技術や理論を構造的に理解することにつながります。
生成AI資格取得のデメリット・注意点:資格だけでは不十分?
一方で、生成AI関連の資格取得にはデメリットや注意すべき点も存在します。
資格取得がゴールではない」
最も重要な点は、「資格取得がゴールではない」ということです。
資格はあくまで知識や特定の技術スキルを証明するための一つのツールに過ぎません。
生成AI分野で本当に活躍するためには、資格で得た知識を基にした実務経験や応用力が不可欠です。
資格を持っているだけでは、実際に問題を解決したり、新しい価値を生み出したりすることはできません。
資格の内容が最新の技術動向から遅れてしまう可能性
また、生成AI技術は非常に速いスピードで進化しています。
そのため、資格の内容が最新の技術動向から遅れてしまう可能性があります。
一度資格を取得したからといって学びを止めず、常に最新の情報や技術をキャッチアップし続ける姿勢が重要です。
費用と時間の問題
さらに、資格取得には費用と時間がかかります。
受験料だけでなく、学習のための教材費や、スクールに通う場合はその費用が発生します。
また、合格のためにはまとまった学習時間の確保が必要です。
自身の状況や目標と照らし合わせ、費用対効果を十分に検討する必要があります。
企業によっては、資格よりもGitHubのリポジトリでの活動や、自身で開発したプロダクト、論文発表などの実績やポートフォリオを重視する場合もあります。
資格取得に過度に依存せず、実践を通じてスキルを磨くことにも等しく力を入れることが重要です。
生成AI資格取得に向けた学習方法
生成AI関連の資格取得を目指すための学習方法は多岐にわたります。
自身の学習スタイルや目標に合わせて、複数の方法を組み合わせるのが効果的です。
オンライン学習プラットフォーム
オンライン学習プラットフォームは、体系的な学習に適しています。
Coursera、Udemy、edXなどのMOOC(大規模公開オンライン講座)では、AI、機械学習、ディープラーニングに関する世界中の大学や企業の質の高い講義を受けることができます。
Udemyなどでは、特定の資格試験対策に特化した講座も提供されています。

私もよく学習にUdemyを利用しています。頻繁にセールが開催されて大幅に値引きされるので、気になる講座はお気に入りに登録しておき、セール通知が来るのを待ちましょう。
公式ドキュメントや専門書籍
公式ドキュメントや専門書籍も重要な学習リソースです。
特にベンダー認定資格の場合は、各社の公式ドキュメントが最も正確で詳細な情報源となります。
AIやディープラーニングの基礎理論を深く理解するためには、評価の高い専門書籍でじっくり学ぶことも有効です。
プログラミング演習や実践プロジェクト
学んだ知識を定着させるためには、プログラミング演習や実践プロジェクトが不可欠です。
Pythonや主要な深層学習フレームワーク(TensorFlow, PyTorchなど)を用いて、実際にコードを書き、小さなモデルを構築してみましょう。
Kaggleのようなデータ分析プラットフォームでコンペティションに参加するのも良い経験になります。
学習コミュニティへの参加
また、学習コミュニティへの参加もおすすめです。
オンラインフォーラムや勉強会、SNSなどを活用し、同じ目標を持つ仲間と交流したり、疑問点を質問したりすることで、学習効率を高めることができます。
独学が難しい場合や、効率的に短期間で学びたい場合は、資格試験対策に特化したオンラインスクールや専門学校を利用するのも一つの方法です。
講師からの指導や、質問できる環境があることで、挫折しにくく、着実に学習を進めることができます。
生成AIと資格の今後:資格の価値は変化するか?
生成AI技術は今後も進化を続けると予想されます。それに伴い、生成AI関連の資格も変化していくと考えられます。
常にアップデートしていくことが大事
既存の資格は、試験内容が最新の技術動向に合わせてアップデートされるでしょう。
また、特定の生成AIモデルや、特定の応用分野(例:対話AI、画像生成AI)に特化した、より専門性の高い資格が登場する可能性もあります。
今後は、単に知識を問うだけでなく、実際の生成AIモデルを構築・評価・運用する能力や、倫理的な配慮、最新の研究論文を読み解き応用する能力など、より実践的かつ総合的なスキルを問う資格が増えるかもしれません。
このような変化の中で、資格は単なる「知識の証明」というだけでなく、「常に最新技術を学び続け、変化に対応しようとする意欲」を示すための手段としての価値を増していく可能性があります。
まとめ
生成AI技術が社会に深く浸透していく中で、関連する知識やスキルを持つ人材の重要性はますます高まっています。
生成AI関連の資格は、自身のスキルを可視化し、キャリアの選択肢を広げる上で有効なツールの一つとなり得ます。
しかし、資格取得はあくまでも生成AI時代を生き抜くための一歩であり、それ自体が最終ゴールではありません。
資格取得を通じて得た知識を基に、実際に手を動かして開発したり、ビジネスに応用したりといった実務経験を積み重ねることが非常に重要です。
自身のキャリアゴールや現在のスキルレベルを考慮し、どの資格が最も自分の目的に合致するかを慎重に検討しましょう。
そして、資格取得後も、常に最新の技術情報をキャッチアップし、継続的に学習し続ける姿勢を持つことが、この変化の速い時代で活躍し続けるための鍵となります。
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そして、資格で得た学びを糧に、AIとともに新しい価値を創造していくことを願っています。
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この記事は私が書いたよ!
kumasan
さまざまな生成AIを楽しんでいます! 趣味はエレキギターということもあり、音楽系の生成AIにかなり注目しています。また、日常やビジネスで使える便利な生成AIツールや、新しく登場する生成AIにどんどんチャレンジ中! みなさんに生成AIの情報をお届けして、その便利さを伝えたいです!