結論を先に
プロンプトは指示を伝える、RAGは資料を検索して渡す、ファインチューニングは追加学習する。 まずは「何を変えているか」で区別しましょう。同じ社内問い合わせを題材に比べたあと、オリジナル例題6問で確かめます。
この記事でわかること
- 3つの用語を「指示・参照資料・追加学習」で見分ける方法
- Few-Shotとファインチューニングを混同しないポイント
- オリジナル例題6問の正解と、ほかの選択肢が違う理由
「資料を渡すのも、例を見せるのも、AIに教えることでは?」。そう考えると、この3つはよく似ています。区別するには、回答が変わったという結果だけでなく、その前にどんな処理をしたかを見ると整理しやすくなります。
まず比較表で整理:変えるのは「指示・資料・モデル」
3つとも回答を改善するために使えますが、働きかける場所が違います。
| 用語 | 何をする? | 覚えるための例 |
|---|---|---|
| プロンプト | 指示や前提、入力データを伝える | 「結論を先に、3項目で説明して」と頼む |
| RAG(検索拡張生成) | 関連資料を検索し、その内容を回答の材料にする | 社内規程から該当箇所を探して答える |
| ファインチューニング | 事前学習済みモデルを追加学習で調整する | 学習用の応対例で、対応するモデルを調整する |

プロンプトはAIに与える入力で、その作り方を工夫するのがプロンプトエンジニアリングです。RAGは検索と生成を組み合わせる仕組み、ファインチューニングは学習の方法です。厳密には同じ種類の用語ではありませんが、回答をどう改善するかという視点で並べると理解できます。
シラバスでは、ファインチューニングは第2章の詳細キーワード、RAGは第3章の学習項目、プロンプトとFew-Shotは第5章に掲載されています。掲載されていることと、特定の比較問題が必ず出ることは別です。GUGA公式シラバスで、前後の項目も合わせて確認してください。
同じ「社内問い合わせ」で3つを比べる
「出張の交通費はどう申請する?」という同じ質問でも、改善のしかたは変わります。 以下は仕組みを説明するための架空の場面です。
プロンプト:答え方の条件を渡す
担当者がAIに「新入社員向けに、必要書類・申請先・締切の順で説明してください」と入力しました。変えたのは、その回答を作るときの指示です。
この指示だけでは、自社の最新規程までは分かりません。文章の並びが整っていても、申請先や締切が正しいとは限らないのです。答え方の指定と、答えるための情報は分けて考えます。
入力に数件の回答例を添えて、書き方の見本にする方法はFew-Shotプロンプティングと呼ばれます。例を会話に入れただけで、モデルを追加学習したことにはなりません。Google Cloudのプロンプト解説も、入力・出力の例を示す方法として説明しています。
RAG:規程から必要な箇所を探して渡す
社内の規程集を検索し、「交通費の申請」の箇所を取り出して、その内容と質問をAIに渡す仕組みを用意しました。これがRAGの基本的な考え方です。RAGはRetrieval-Augmented Generationの略で、日本語では検索拡張生成と呼びます。
RAGの基本の流れ
質問を受け取る → 関連資料を検索する → 見つけた内容をモデルへ渡す → 回答を生成する
長い資料を検索しやすい単位に分けたものが「チャンク」です。「ベクトルデータベース」は、文章などを数値で表したベクトルを保存・検索するために使われます。いずれも公式シラバスに掲載されています。ただし、RAGの検索方法はベクトル検索だけに限られません。
RAGのために、回答を生成するモデルを毎回追加学習する必要はありません。新しい規程を反映したいときは、検索対象の資料や検索用の索引を更新することが中心になります。検索対象が古ければ、古い規程で答えてしまいます。Google CloudのRAG解説でも、取り出す情報の関連性や品質が重視されています。
ファインチューニング:学習処理でモデルを調整する
会社が用意した学習用の問い合わせと回答例を使い、対応するモデルに追加の学習処理を行いました。たとえば、自社で使う分類や応対形式に合わせるための調整です。
学習によってモデルのパラメータなどを更新する点が、入力に資料や例を添える方法との違いです。すべてのパラメータを更新する方法も、一部や追加したパラメータだけを調整する方法もあります。通常のチャットへの入力とは別の準備・処理が必要です。IBMのファインチューニング解説を参考にしています。
追加学習を済ませても、後日変わった社内規程が自動的に反映されるわけではありません。「新しい情報を参照させたい」のか、「応答の傾向を学習で調整したい」のかを分けて考えましょう。
混同しやすい3つの場面
「資料を渡した」「例を見せた」という言葉だけでは、どの方法か決められません。
| 場面 | 見分けるポイント |
|---|---|
| PDFをチャットに添付した | 添付しただけではRAGかどうかは断定できません。全文を入力に含める場合と、関連箇所を検索して渡す場合があります。 |
| 回答例を3件入力した | 入力内の見本ならFew-Shot。別途学習処理を行うファインチューニングとは区別します。 |
| 社内規程を参照し、決めた口調で答えた | RAGとプロンプトの併用が考えられます。ファインチューニング済みモデルとRAGを組み合わせることも可能です。 |
私が用語を覚えるときに意識したこと
英語の意味から答えをイメージできる用語は、比較的スムーズに覚えられました。
たとえばプロンプトは、生成AIを使うときに何度も目にする言葉です。普段の操作とも結びつくので、問題を読んだときも答えを想像しやすく感じました。一方、RAGのような略称は、何の略だったかがすぐに浮かばないうちは理解しにくかったです。
ファインチューニングも、説明文だけを読んで覚えようとすると頭に残りにくい用語でした。自分が普段どのようにAIを使っているかに置き換え、「いつもの入力で指示しているだけなのか、それとも別に学習させているのか」と考えると、少しずつ整理できるようになりました。文章に加えて、図解やイラストで関係を見られると、さらに覚えやすいと思っています。
最終的に意識したのは、用語をひとつずつ切り離して暗記しないことです。似た用語を並べ、共通する部分と、違いを決める言葉や場面をセットで覚える。この方法なら、名前を思い出すだけでなく、問題文のどこを見ればよいかも分かりやすくなりました。
問題文では「動詞」と「強すぎる断定」を見る
手法名を当てるときは、AIの回答結果よりも「何をしたか」を表す言葉に注目します。
問題文を読んだら、「入力した」「検索した」「追加学習した」などの動詞を先に拾ってください。似た場面でも、実際に行った処理が違えば答えも変わります。
| 問題文の手掛かり | 考えやすい用語 |
|---|---|
| 入力する、指示する、条件や形式を指定する | プロンプト |
| 検索する、取得する、関連資料を参照する | RAG |
| 追加学習する、学習データでパラメータを調整する | ファインチューニング |
| 入力の中に回答例を示す、別途の学習処理はない | Few-Shotプロンプティング |
問題を読む3ステップ
1. 問題文で行われた操作を表す動詞を探す
2. 資料の検索や、別途の学習処理があるか確かめる
3. 「必ず」「完全に」「ゼロになる」「〜だけで十分」のような断定を見直す
強い断定がある選択肢は、その一語だけで不正解と決めず、例外がないかを考えます。たとえば「RAGを使えば誤回答はゼロになる」は、検索漏れや資料の読み違いがあり得るため適切ではありません。
オリジナル例題6問:答えを見る前に理由も考える
各問の正解は1つです。「どの処理が書かれているか」を手掛かりに選んでください。 公式問題・過去問の転載や再現ではなく、用語の理解を確かめるための練習問題です。
第1問:文章の並びを変える
同じAIに「申請手順を初心者向けに、箇条書きで答えて」と入力しました。外部資料の検索や追加学習は行っていません。この操作はどれですか?
選択肢
A. RAG
B. プロンプトによる指示
C. ファインチューニング
正解と解説を見る
正解:B
変更したのは入力の指示です。Aは関連情報の検索と回答への利用、Cは追加の学習処理を伴います。
第2問:必要な規程を検索する
質問に応じて社内規程の該当箇所を検索し、その内容を質問と一緒にモデルへ渡して回答を作ります。この仕組みはどれですか?
選択肢
A. RAG
B. ファインチューニング
C. 学習データを使わないゼロからのモデル開発
正解と解説を見る
正解:A
「検索して、その情報を回答の材料にする」が決め手です。資料を渡すことを、そのままモデルの追加学習と読み替えないようにします。Cのモデル開発も行っていません。
第3問:応対例でモデルを調整する
学習用の問い合わせ・回答データを用意し、事前学習済みモデルに追加学習を行ってパラメータを調整しました。どれに当たりますか?
選択肢
A. Few-Shotプロンプティングだけ
B. RAGだけ
C. ファインチューニング
正解と解説を見る
正解:C
「追加学習」と「パラメータを調整」が根拠です。例が少数か多数かより、学習処理をしたかどうかを見ます。Aは入力内に例を示す方法、Bは検索した資料を利用する仕組みです。
第4問:回答例を入力に含める
プロンプトの中に「入力例→回答例」を3組書き、その書式で次の質問に答えるよう依頼しました。別途の学習処理はありません。最も適切なのはどれですか?
選択肢
A. モデル全体の再学習
B. Few-Shotプロンプティング
C. ベクトルデータベースの更新
正解と解説を見る
正解:B
例を入力の一部として見せています。モデル全体の再学習やデータベースの更新を行ったとは書かれていません。「例で教える」という表現だけで判断しないのがポイントです。
第5問:検索できたら正解になる?
RAGの説明として適切なのはどれですか?
選択肢
A. 社内資料を検索すれば誤回答は発生しない
B. ファインチューニングを毎回行わないと使えない
C. 取得した資料や生成された回答の確認は必要
正解と解説を見る
正解:C
RAGにも検索漏れや読み違いの可能性があるため、Aの「発生しない」は言い過ぎです。Bのような毎回の追加学習も、RAGの必須条件ではありません。
第6問:規程が更新されたら?
社内規程を検索するRAGシステムで、交通費の規程が改訂されました。新しい内容を回答に反映するため、まず確認したいのはどれですか?
選択肢
A. 検索対象の資料・索引が更新され、新しい箇所を取得できるか
B. 「必ず最新情報で」とだけ書けば十分か
C. 文章を敬語にすれば規程も更新されるか
正解と解説を見る
正解:A
新しい規程が検索対象に入り、質問に対して取得できることを確認します。Bの指示だけでは不足した資料を補えず、Cの口調変更も規程の更新にはなりません。
点数だけで終わらせず、第1・4問で迷ったら「入力の指示」、第2・5・6問なら「検索した資料」、第3問なら「学習処理」に戻ってください。この6問の得点は、本試験の合格可能性を判定するものではありません。
別のテーマでも理解を確かめたい方は、STUDY PASSPORTの無料お試し版で問題演習の操作感を確認できます。当サイトが制作する非公式教材です。
復習するときは「正解の理由」を一文で残す
用語名だけでなく、判断の根拠もセットで書き残しましょう。
たとえば第4問を間違えたなら、「例を見せたからファインチューニング」ではなく、「例は入力内にあり、学習処理がないのでFew-Shot」とメモします。次に似た問題が出たとき、どこを読むかがはっきりします。
そのまま使える復習メモ
問題番号:
自分が選んだ答え:
正解:
見落とした言葉:
正解の理由を一文で:
一度で3つを説明できなくても、迷った組み合わせだけ比べ直せば十分です。言葉の長さより、「指示なのか、検索なのか、追加学習なのか」に目を向けてみてください。
この記事のまとめ
- プロンプトは、その回答に使う指示や前提を伝える入力
- RAGは、関連資料を検索して回答の材料にする仕組み
- ファインチューニングは、事前学習済みモデルを追加学習で調整する方法
- 入力に回答例を入れるFew-Shotと、追加学習は区別する
- 3つは組み合わせられる。資料の更新や回答の確認も必要
理解した用語を別の問題でも見分けられるか確かめたいときは、公式テキストで確認したあとに演習を組み合わせてください。STUDY PASSPORTでは、試験範囲のほかのテーマも復習できます。
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英語の名前を丸ごと覚えようとすると、似た説明が混ざりがちです。この記事では「何をしたか」を軸にしました。答えを選んだあと、その理由も一言で説明してみてください。
よくある質問
入力に例を添えることと、モデルを追加学習することを分けると整理できます。
RAGとファインチューニングの一番大きな違いは何ですか?
RAGは回答時に関連資料を検索してモデルへ渡す仕組みで、ファインチューニングは事前学習済みモデルを追加学習で調整する方法です。参照する情報を補うのか、学習によってモデルを調整するのかで区別します。
プロンプトに回答例を入れるとファインチューニングになりますか?
回答例を入力に含めるだけなら、通常はFew-Shotプロンプティングです。ファインチューニングでは、別途、学習データを使ってモデルのパラメータなどを更新する学習処理を行います。
RAGを使えばハルシネーションはなくなりますか?
なくなるとは限りません。検索で必要な情報が見つからなかったり、古い資料を参照したり、生成時に読み違えたりする可能性があります。参照元の内容と回答の確認が必要です。
この6問は生成AIパスポートの過去問ですか?
いいえ。用語の違いを練習するために当サイトが作成したオリジナル問題です。GUGAの公式問題・過去問ではなく、本試験での出題や合格を保証するものではありません。
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出典・参考資料
試験範囲はGUGA公式、技術用語は提供元の解説で確認しています。
GUGA:生成AIパスポート試験シラバス(2026年2月試験より適用。PDF第2・3・5章)
Google Cloud:What is Retrieval-Augmented Generation (RAG)?
Google Cloud:Prompt Engineering for AI Guide
確認日:2026年9月12日。例題は当サイトのオリジナルで、公式問題・過去問ではありません。試験範囲の変更はGUGA公式サイトでご確認ください。