結論を先に
生成AIパスポートを社員教育に取り入れる企業が増えています。IT企業のCLINKSは社員654名が合格、営業BPOのSALES ROBOTICSは取得率94.1%、ダイレクトクラウドは役職員の約40%、医療DXのHERO innovationは44名が合格と、業種も規模も狙いもさまざまです。共通しているのは「生成AIを日常的に使う組織ほど、リスク予防の知識を体系的に底上げする必要性を感じている」という点です。
この記事でわかること
- 企業が生成AIパスポートを社員教育に取り入れる背景
- CLINKS・SALES ROBOTICS・ダイレクトクラウド・HERO innovation、4社の取り組み内容
- 4社に共通するポイントと、自社に取り入れる際のヒント
- 団体受験の仕組みと活用方法
なぜ企業が生成AIパスポートを社員教育に取り入れるのか
生成AIの業務活用が広がる一方で、情報漏洩や著作権侵害、ハルシネーション(AIが生成するもっともらしい誤情報)への対応など、組織として押さえておくべきリスクも増えています。生成AIパスポートは、こうした生成AIリスクを予防するための知識を体系的に学べる資格として、企業研修に組み込まれるケースが増えてきました。
個人の自己啓発ではなく、全社員・役職者単位で取得を推進する企業の事例を見ていくと、業種は違っても共通する狙いが見えてきます。
「生成AIを使わせる」から「安全に使いこなせる状態を組織として保証する」段階に、企業の意識が移ってきています。
CLINKS株式会社|654名合格・投資額2,500万円のIT企業の本気度
IT企業のCLINKS株式会社は、全社員1,288名を対象に生成AIパスポートの取得プロジェクトを実施し、654名を合格させました。プロジェクトには2,500万円を投じたとされ、公式テキストをベースにした社内研修動画の制作、受験料の会社負担、合格者への一時金支給といったインセンティブ設計を組み合わせています。
コストをかけてでも組織全体のAIリテラシーを底上げする、という経営判断が明確な事例です。
SALES ROBOTICS|取得率94.1%、生成AI利用率98.7%の現場
インサイドセールスやカスタマーサクセスのBPO支援を手がけるSALES ROBOTICS株式会社は、2026年3月時点で入社1年以上の社員の94.1%が生成AIパスポートを取得していると発表しました。同社は生成AIの月1回以上の利用率が98.7%、毎日利用率も90.4%に達しており、現場で生成AIを使い倒しているからこそ、リテラシーの底上げを急いだケースと言えます。
活用率の高さとリスク対策はセットで進める必要がある、という好例です。
ダイレクトクラウド|役職員の約40%が合格、営業標準装備に
クラウドストレージサービス「DirectCloud」を展開する株式会社ダイレクトクラウドは、本社役職員23名が合格し、対象者の約40%が資格を取得したと発表しています。同社はクラウドストレージと統合した生成AIサービスも提供しており、顧客にAI活用を提案する立場として、自社の従業員教育を先に固める狙いがうかがえます。
自社サービスの説得力を高めるために、まず社内で資格取得を進めるという逆算型の事例です。
HERO innovation|医療DX企業が役職者から着手した理由
福岡を拠点に医療機関向けのマーケティング・DX支援を手がける株式会社HERO innovationは、2026年6月試験で役職者を中心に44名が合格したと発表しました。従業員数の2割にあたる規模で、まず役職者が知識を身につけ、社内での知見共有につなげるという段階的な進め方を取っています。
全員一斉ではなく役職者から着手する進め方は、予算や工数が限られる企業でも参考にしやすい方法です。
4社に共通するポイントと自社に取り入れるヒント
| 企業 | 業種 | 規模・数字 | 進め方 |
|---|---|---|---|
| CLINKS | IT | 654名合格/投資額2,500万円 | 全社員対象・研修動画+一時金 |
| SALES ROBOTICS | 営業BPO | 取得率94.1% | 入社1年以内に取得推進 |
| ダイレクトクラウド | クラウドストレージ | 役職員の約40% | 役職員から先行取得 |
| HERO innovation | 医療DX | 44名(全体の2割) | 役職者中心・段階的展開 |
4社を並べると、進め方は「全社一斉」か「役職者・希望者から段階的に」かのどちらかに分かれます。予算や工数に余裕があれば全社一斉、まず効果を見極めたい場合は役職者からのスモールスタートが現実的です。人数がまとまるなら、GUGA会員企業は人数の下限なく、非会員企業でも10名以上の申し込みで受験料・公式テキスト購入費用が10〜20%割引になる団体受験の制度を使わない手はありません。
自社の生成AI活用度に対して、リテラシー教育が追いついているかを一度棚卸ししてみる価値があります。
この記事のまとめ
- CLINKS(654名合格)、SALES ROBOTICS(取得率94.1%)、ダイレクトクラウド(役職員の約40%)、HERO innovation(44名)が生成AIパスポートを社員教育に導入
- 生成AIの利用率が高い企業ほど、リテラシー教育を急ぐ傾向がある
- 進め方は「全社一斉」と「役職者から段階的に」の2パターン
- まとまった人数なら団体受験で受験料・テキスト代を10〜20%節約できる
4社を並べてみて感じたのは、業種も規模も本当にバラバラなのに、狙いはほぼ同じという点です。生成AIを使う機会が増えるほど、知識のばらつきがリスクになる。だからこそ「資格」という共通のものさしで底上げする発想は、今後さらに広がっていきそうだと感じています。
生成AIパスポートを企業が社員教育に取り入れるメリットは何ですか?
情報漏洩や著作権侵害といった生成AI活用のリスクを予防する知識を、全社員が体系的かつ同じ基準で習得できる点が最大のメリットです。資格という形で可視化できるため、取り組みを社内外に説明しやすくなります。
生成AIパスポートを団体で受験するとどんなメリットがありますか?
GUGA会員企業なら人数の下限なく、非会員企業でも10名以上の申し込みで受験料・公式テキスト購入費用が10〜20%割引になります。個人受験より低コストで、組織的にAIリテラシーの底上げを図れます。
生成AIパスポートを導入している企業にはどんな共通点がありますか?
業種は様々ですが、日常的に生成AIの利用率が高い企業ほど、リスク予防の知識を体系立てて底上げする必要性を強く感じて導入している傾向があります。役職者から優先的に取得を進める企業が多いのも共通点です。
-
-
生成AIパスポートの受験者数が過去最多28,415名に!累計83,000名突破で注目される理由と取得メリット【2026年版】
-
-
【速報】生成AIパスポート、累計受験者数11万名突破|2026年6月試験結果と8月試験の申込締切(7/31)まとめ
本記事は、CLINKS株式会社コラム「【現在654名が合格】生成AIパスポート全社員取得に向けての取り組み」(https://www.clinks.jp/column/staff01_interview/1845/)、SALES ROBOTICS株式会社プレスリリース(2026年4月1日付)、株式会社ダイレクトクラウドプレスリリース(2026年5月20日付)、株式会社HERO innovationプレスリリース(2026年7月21日付、いずれもPR TIMES配信)の情報をもとに作成しています。各社の最新の取り組み状況は各社公式サイトでご確認ください。
生成AIをもっと知りたい方はこちら
生成AIの基本をもう一度体系的に押さえておきたい方には、書籍『教えて!からあげ先生 はじめての生成AI』もおすすめです。