- 2025年6月20日
近年、「生成AI」という言葉をよく耳にするようになりました。
文章を作ったり、絵を描いたり、音楽を生み出したりと、まるで魔法のようなことをAIができるようになってきています。
では、このすごい生成AIは、一体どういう仕組みで動いているのでしょうか?
その答えを知るためには、「機械学習」と、その進化形である「ディープラーニング」という技術を理解することが欠かせません。
「機械学習」や「ディープラーニング」と聞くと、難しそうと感じるかもしれません。
この記事では、生成AIに興味を持っているあなたが、これらの言葉に戸惑わなくなるように、その違いをわかりやすく解説します。
まずは基本の「機械学習」を知ろう
AIが賢くなるための方法の1つに、「機械学習」があります。
これは文字通り、コンピューターが人間の指示なしに「機械」として「学習」する技術のことです。
では、具体的にどういうことでしょうか?
機械学習の「ざっくり」イメージ
機械学習をすごく簡単に言うと、「たくさんのデータから、何かのルールやパターンを見つけ出すこと」です。
例えるなら、あなたが初めて見る動物がイヌかネコかを見分ける練習をするようなものです。

たくさんのイヌとネコの写真を見て、「イヌは鼻が長い」「ネコはヒゲが多い」といった特徴を覚えていきます。
機械学習も同じように、大量のデータ(写真)を与えられることで、自動的に特徴やパターンを学んでいくイメージです。
データから「答え」を導き出す仕組み
機械学習では、コンピューターに「入力データ」と、それに対する「正解のデータ」をセットで与えることから始めます。
例えば、「この画像は【イヌ】」「このメールは【迷惑メールではない】」といった具合です。
コンピューターはこれらのデータセットを繰り返し学習することで、入力データから正解を予測するための「モデル(予測の仕組み)」を作り上げます。
学習が終わったモデルに新しい入力データ(見たことのない画像やメール)を与えると、自分で考えたルールに基づいて「これはイヌだろう」、「これは迷惑メールだ」と予測を出力できるようになるのです。
どんな時に機械学習が使われる?(簡単な例)
実は、私たちは普段から知らないうちに機械学習のお世話になっています。
- 迷惑メールの振り分け: 届いたメールが重要か迷惑メールかを自動で判断。
- 商品のレコメンデーション: ネットショッピングで「あなたへのおすすめ」が表示される。
- 検索エンジンの順位付け: 検索したキーワードに合ったウェブサイトを上位に表示する。
これらは全て、過去のデータからパターンを学び、未来を予測したり分類したりする機械学習の応用例です。
機械学習が進化した「ディープラーニング」とは?
さて、機械学習の基本が分かったところで、いよいよ「ディープラーニング」についてです。
ディープラーニングは、機械学習の一種であり、特に近年目覚ましい発展を遂げている技術です。
人間の脳っぽく学習する?「ニューラルネットワーク」の話
ディープラーニングを理解する上で、重要なキーワードが「ニューラルネットワーク」です。
これは、人間の脳にある神経細胞(ニューロン)のつながりを模倣した、コンピューターの計算モデルです。
たくさんの小さな計算ユニットが層になってつながっていて、情報がその層を順々に伝わりながら処理されていきます。
「ディープ(深い)」ってどういうこと?
機械学習にもニューラルネットワークを使う手法はありましたが、ディープラーニングでは、この「層」の数が非常に多いのが特徴です。

「ディープ(Deep)」とは「深い」という意味ですが、これはまさにこのニューラルネットワークの層が「深い」(多層である)ことに由来しています。
層が深いほど、より複雑で抽象的なパターンを学習できるようになります。
ディープラーニングが得意なこと(画像認識などを例に)
この「深い層」を持つことで、ディープラーニングは特定の分野で機械学習よりもはるかに高い性能を発揮します。
- 画像認識: 写真に何が写っているかを正確に認識する(人、動物、物体など)。
- 音声認識: 人間の言葉を聞き取ってテキストに変換する。
- 自然言語処理: 人間の言葉の意味を理解したり、新しい文章を生成したりする(これが生成AIのコア技術の一つです)。
これらの分野は、データに含まれるパターンが非常に複雑で、従来の機械学習では難しかったものです。
ディープラーニングは、その複雑なパターンを自分で見つけ出すのが得意なのです。
結局、何が違うの?機械学習とディープラーニングの決定的な差
機械学習の中にディープラーニングがある、ということはお分かりいただけたと思います。
では、両者の間には具体的にどのような違いがあるのでしょうか?
いくつかのポイント見ていきましょう。
学習に必要な「データ量」
一般的に、ディープラーニングは非常に大量のデータがないと真価を発揮できません。
数百万、数千万、時にはそれ以上のデータが必要です。
なぜなら、多層のネットワークが複雑なパターンを学習するためには、それに見合うだけの豊富な情報源が必要だからです。
一方、従来の機械学習手法の中には、比較的少ないデータでも効果的に学習できるものがあります。
人間が手助けするか、AI自身が見つけるか(「特徴量」の違い)
ここが最も重要な違いの一つです。
従来の機械学習を行う場合、私たちは学習させるデータの中の「どこが重要か(特徴量)」を人間が事前に定義してあげる必要がありました。
例えば、イヌとネコを見分けるなら、「耳の形」「尻尾の長さ」といった特徴リストを人間が考え、コンピューターに教えてあげるイメージです。
しかし、ディープラーニングは違います。
生データ(例えば画像そのもの)をそのまま与えても、ネットワークの深い層が自動的に重要な特徴(ピクセルのパターン、輪郭、形など)を階層的に見つけ出し、学習していきます。

人間が「ここを見てね」と指示する必要がないのです。
この「特徴量を自動で学習する能力」が、ディープラーニングの大きな強みです。
必要な「計算パワー」
ディープラーニングモデルは、その多層構造と大量のデータ処理のため、非常に高い計算能力を必要とします。
特に、学習(トレーニング)には高性能なコンピューターや、GPU(Graphics Processing Unit)と呼ばれる画像処理に特化したチップが不可欠です。
従来の機械学習に比べて、はるかに大きな計算資源が必要になります。
できることの「複雑さ」
特徴量を自動で学習し、多層で処理できるディープラーニングは、画像認識、音声認識、自然言語処理といった、人間の知覚や思考に近い複雑なタスクで高い精度を出すことができます。
従来の機械学習は、より構造化されたデータや、人間が明確に定義できる特徴に基づいたタスクに向いています。
なぜ今、ディープラーニングがこんなに注目されているのか?
ディープラーニング自体は昔から研究されてきた技術ですが、特にこの10年ほどで爆発的に進歩し、社会に大きな影響を与えるようになりました。
なぜ今、ディープラーニングがさらに注目を集めているか解説します。
技術が進化した背景(コンピューターの力、増えたデータ)
大きな理由の一つは、コンピューターの性能が飛躍的に向上し、計算に必要なGPUが手軽に使えるようになったことです。
これにより、深くて大きなニューラルネットワークを現実的な時間で学習させることが可能になりました。
また、インターネットやスマートフォンの普及により、画像や音声、テキストといったデジタルデータが爆発的に増加したことも追い風となりました。
ディープラーニングが必要とする大量のデータが手に入るようになったのです。
生成AIブームとのつながり
そして、何よりも大きいのが「生成AI」の登場です。
文章を書いたり、コードを生成したり、オリジナルの画像を創り出したりするこれらのAIは、その多くがディープラーニング、特に Transformer(トランスフォーマー)と呼ばれる最新のニューラルネットワークアーキテクチャを基盤としています。
ディープラーニングが、これまでAIが「認識」や「判断」するだけでなく、「創造」することも可能にしたのです。
ディープラーニングで何ができるようになった?
ディープラーニングの進化は、私たちの生活にも大きな変化をもたらしています。
スマートフォンの音声アシスタント、顔認証でのロック解除、自動運転技術の一部、医療画像からの病気発見支援など、枚挙にいとまがありません。
そして今、人間のようにテキストや画像を生成するAIが、私たちの創造性を刺激しはじめています。

生成AIを活用する上で、ディープラーニングは必要不可欠な要素というわけです。
まとめ
この記事では、機械学習とディープラーニングの違いについて解説してきました。
今回のポイントをおさらい
- 機械学習は、データからルールやパターンを学ぶAI技術の総称。人間が「特徴量」を指示することがある。
- ディープラーニングは、機械学習の一種で、多層のニューラルネットワークを使う。データから「特徴量」を自動で学習できるのが最大の強み。大量のデータと計算能力が必要。
- ディープラーニングは、画像認識、音声認識、自然言語処理などの複雑なタスクで非常に高い性能を発揮する。
- 近年のコンピューター性能向上とデータ量増加が、ディープラーニング、そして生成AIの発展を後押ししている。
ディープラーニングの進化によって生まれた生成AIは、まだ始まったばかりの技術です。
これから私たちの働き方や創造性は大きく変わっていく可能性があります。
「機械学習」と「ディープラーニング」の違いを知ることは、最先端の生成AIがどのように動いているのかを理解するための、重要な基礎知識となります。
この知識があれば、これからのAIのニュースや技術トレンドも、より深く、面白く感じられるはずです。
AIは怖いものではなく、私たちの可能性を広げるための強力なツールです。
違いを理解して、ぜひAIの世界をもっと探求してみてください!
この記事が気に入ったら
フォローをお願いします!
この記事は私が書いたよ!
kumasan
さまざまな生成AIを楽しんでいます! 趣味はエレキギターということもあり、音楽系の生成AIにかなり注目しています。また、日常やビジネスで使える便利な生成AIツールや、新しく登場する生成AIにどんどんチャレンジ中! みなさんに生成AIの情報をお届けして、その便利さを伝えたいです!